こんまりメソッドは「ときめくか、どうか」で残すモノを選ぶのが特徴です。
「ときめき」という曖昧な感情で判断するのはちょっとなぁ、と感じる人もいるでしょう。かつての僕がそうでした。でも、片づけを考えるほど、「ときめくか、どうか」で選ぶのがシンプルで合理的だという結論に着地します。
片づけで難しいのは、グレーゾーンへの対処です。「いつか使うかも」「思い出の品だから」という、必要とも不要ともいえないグレーゾーンが、サバンナの荒野のごとく、どこまでも広がっています。「明らかに不要なもの」は全体の1%くらいしかありません。
片づけメソッドの多くは、グレーゾーンを「捨てる側」からアプローチします。1年以上使っていないモノは捨てよう、再調達コストが3万円以下のモノは捨てよう、1つ入れたら1つ捨てよう、トランクルームにあずけてみよう。これらのルールはどれも「基準に達しなかったモノは捨てる」という点が共通しています。誰でもわかりやすく始められるメリットがありますが、人生を変えるほどの効果はありません。
一方「残す側」からのアプローチは難しい。本当に必要なモノは、人によって様々だからです。(あくまで例えですが)エンジニアなら服は10~20着で足りますが、ファッションデザイナーなら100着でも足りません。それでも実験的に「100個だけで生活してみよう」とか「3ヶ月で服は33着だけ」とか、残すモノを品数で縛ってミニマリスト生活に勤しむこともできます。しかしほとんどの人には、100個だけで暮らすことも、3ヶ月を33着だけで過ごすことも、どちらも大変な苦痛です。幸福になるための片づけのはずなのに、実践しようとすると辛く苦しいのです。
こういう事情があるので、普通の片づけ術は「捨てる側」からしかアプローチせざるを得ません。その結果、膨大なグレーゾーンはいつまでの取り残されることになります。片付けは進まない。
以上を踏まえると、こんまりメソッドの「ときめくか、どうか」で残すモノを決めよう!という提唱は、大発明だってことがわかります。「残す側」からのアプローチなので、捨てるルールがいらない。効率的です。さらに「ときめき」というわかりやすさ。そして何より楽しい。最後の「楽しい」っていうのが、なんだかんだ一番大事です。
こんまりメソッドの根底には「モノへの感謝・リスペクト」があります。「モノはあなたの役に立ちたいと思っている」という、なんともスピリチュアルな片づけ術も、これだけ合理的だからアメリカでも広く受け入れられたのでしょう。楽しくて実践しやすい、さらに東洋の神秘的なメソッドに気軽に触れられる感じがして、なんだかオトクな気分!といったところでしょうか。
こんまりさんの「ときめき」、実はめちゃ合理的なメソッドなんですよね。