kaitoの日記

自分らしく行こう!

人は迷惑をかけながら生まれて、迷惑をかけながら死んでいくものだと思う。

認知症になると、怒りっぽくなったり、自己中になったりする。認知の力が衰えて、ガマンが難しくなることが原因らしい。物取られ妄想というのもよくある症状の1つで、「あんた、私のお金盗んだだろ」と訴える妄想のことで、身近な人が疑われやすいのだそうだ。

この物盗られ妄想について、「ボケ日和」という本のなかで”なるほど”と思うことが書いてあったので、今日はそれについて書いていきたい。

著者の長谷川さんによると、物取られ妄想をぶつけられたら、それは「勲章」なのだそうだ。犯人あつかいされているのに「勲章」というのはどういうことか。

物取られ妄想で犯人扱いされるのは、もっとも献身的に介護してくれる人なのだそうだ。つまり、介護者はなくてはならない存在になっているということ。もっとも頼れる人でないと、物盗られ妄想の犯人にはならないのだそうだ。だから「勲章だと思っていい」と著者は言っている。

 

この説明を聞いて、ふと、私の中でいろんなものが繋がった。

ナルホド、認知症の方が一番頼れる人を責めるのって、これって小さい子供が親を責めてるのと同じじゃん。

子供はまだ認知が弱いから、自分の行動と結果の関係を理解できない。だから、外部要因のせいにする。わかりやすくお母さんのせいにしてしまう。

それに子供はまだまだ環境そのものを自分の力でコントロールすることができない。だから、問題が発生すると、問題のコントロールができる(と思っている)親を責める。

こう考えると、見方がいろいろ変わってくる。

認知症の方には周辺症状として、妄想、幻覚、不安、焦燥、せん妄、睡眠障害、多弁、多動、依存、異食、過食、徘徊、不潔、暴力、暴言が現れる、という。現れ方は人によってさまざまだが、認知機能が低下することによって起きる症状らしい。

でも、よく考えると、子供も全部これある。たとえばイマジナリーフレンドといって、頭の中にいる実在しない友だちと遊ぶ子供もいる。もしこれが老人なら、妄想・幻覚を見ているとして扱われるだろう。

癇癪をおこして暴力や暴言を吐くのは、小さい子だと普通だ。食べられないものを口にいれる「異色」だって、うちの娘はよくやっている。生後3ヶ月くらいまでは睡眠リズムもままならず夜中に何度も起きていたが、あれも睡眠障害だと言ってしまうこともできる。

 

結局、認知機能が乏しいとおかしな行動をしてしまうことが普通であり、それを問題とみなすのかどうかは、私たちの期待値の問題なのだ。そういうものだと捉えれば問題にならないし、問題だと捉えれば、それは「症状」となり治療するべきものになる。

認知症や老化についての本を読むほど思うのは、人間というのは迷惑をかけながら生まれて、迷惑をかけながら死んでいくものだ、ということ。ちょうど、赤ちゃんが成長するのと逆の過程をたどっているように感じる。もはや、人は赤ちゃんに還るようにして死ぬ、といっても良いかもしれない。