kaitoの日記

自分らしく行こう!

「異端の福祉」を読み始めた

最近は、介護事業の経営について興味があり、いろいろ調べている。介護ビジネス業界系の本は読み終わったので、もうちょっと具体的で生々しい話を知りたくなってAmazonで本を漁っていたら「異端の福祉」という面白そうな本を見つけた。

介護ビジネスというのは、制度ビジネスである。介護サービスの単価を事業者の判断で勝手にあげることはできない。国によって決められているのだ。そして、報酬単価がかなり安い上に、今後は財源不足で徐々に報酬単価も落ちていく見込みである。なのに、人手不足で、採用費がどんどん上がっていく。最低賃金も上げざるを得ない。売上は下がるのに、固定費は上がる。儲けることがとてもむずかしい業界なのだ。

そんな中「重度訪問介護」に特化することで、収益構造を改善し、従業員の高い満足度と高い給与水準を実現している会社がある。それが「異端の福祉」の著者が経営している「株式会社土屋」である。

訪問介護は人件費率の高いビジネスなので、ちゃんと売上をあげて従業員の給与を上げていこうとすると、大規模化していくしかない。でも、実態としては訪問介護は零細・小規模の事業者ばかりである。

そんななか、株式会社土屋は全国展開する大規模の会社だ。重度の介護は国からの報酬単価が比較的高くなるのだそうだ。また、1回あたりのサービス利用時間も長くなりやすい。そういった、ドメイン選定x大規模化でしっかり介護をビジネスにしている会社だ。

どうやって収益を立てているのかは、おおよそ事前の想像のとおりだった。先述のとおり、1人あたりの単価が高いドメインにおいて、大規模化し、かつデジタル化・DXを積極的に取り入れる。ここにおいては、大きなサプライズはなさそうだった。

ただ、この本の面白さはビジネス展開のうまさというよりも、代表の高浜さんの生き方にある。経歴が面白いのだ。大学では哲学を専攻。ボクシングの世界で身を立てようと奮闘するも挫折。30歳までアルバイトで食いつなぐ。勤め先の介護事業所で正社員になって現場を経験し、重度訪問介護のビジネスアイディアを考え、株式会社土屋を立ち上げて形にする。

考え方も面白い。たとえば、本書の中で、障害者主権についての話が出てきたり、青い芝の会についての話が出てきたりする。いずれも、日本の障害者の歴史を語る上ではなくてはならないトピックだが、意外と一般の介護ビジネスの本では語られない。そういった大事なテーマを、ビジネス書でちゃんと語ってくれる。とてもありがたい本だ。

 

…と、あたかも通読したかのように書いてしまったが、まだ全体の四分の一程度しか目を通していない。今のところ面白い本なので、少しずつ読み進めていきたいと思っている。